タニガキ建工×和歌山大学 和歌山型ビジネスモデル「みどりの地産地消」で地域の課題を解決へ

タニガキ建工

和歌山大学

和歌山型ビジネスモデル
「みどりの地産地消」で
地域の課題を解決へ

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プロジェクトストーリー

和歌山型ビジネスモデル
「みどりの地産地消」で地域の課題を解決へ

タニガキ建工×和歌山大学の産学連携は時代の最先端!?
高野山道路の法面緑化工事をきっかけに生物多様性保全、耕作放棄地問題、獣害などを次々と解決へと導いた「わちけん」メンバーが、ネイチャーポジティブと地域社会の未来を語ります。

PROJECT MEMBERS

谷垣 和伸

谷垣 和伸

TANIGAKI
KAZUNOBU

(株)タニガキ建工代表取締役。
和歌山県内で斜面工事の設計から施工に携わり、法面緑化工事の最前線で活躍。
わかやま地域植物緑化研究会 会長。

川中 一博

川中 一博

KAWANAKA
KAZUHIRO

(株)タニガキ建工 工事部 部長。
2000年入社。わかやま地域植物緑化研究会の執行部として発足当初より参画。同研究会の運営およびワークショップや見学会、講習会などの企画を担当。

湯崎 真梨子

湯崎 真梨子

YUZAKI
MARIKO

和歌山大学食農総合研究教育センター客員教授。博士(学術)。
専門は農村社会学、地域再生学。
地域資源を生かした地域自治のため現場を巡る。

中島 敦司

中島 敦司

NAKASHIMA
ATSUSHI

和歌山大学システム工学部教授。博士(学術)。
専門は森林生態学、緑化工学。
地域温暖化、自然再生から妖怪まで自然保護研究のテーマは広い。

谷垣 和伸

CHAPTER 01

すべては高野山道路の
法面緑化工事から始まった

川中

川中

この座談会では「わかやま地域植物緑化研究会(通称わちけん)」の成り立ち、活動内容、目指すことをテーマに、先生方、そして弊社代表取締役であり、「わちけん」の会長でもある谷垣に話を伺い、タニガキ建工という会社の魅力を学生のみなさんに伝えていけたらと思っています。

湯崎

湯崎

じゃあ、まずは「わちけん」発足のきっかけになった高野山道路の法面緑化工事の話からですよね。

当時の和歌山県は高野山開創1200年となる2015年までに国道371号のバイパス(高野山道路)の整備を目指していて、2010年から2014年の5年をかけて工事を進めていました。

中島

中島

手付かずに近い山々を切り開いて道路をつくるから
木が切り倒されて山肌が露出してしまって……

湯崎

湯崎

そんな山肌の斜面を法面(のりめん)といって、そこをもう一度、山に戻していくのが法面緑化工事なんですね。

緑化によく使われるのはコストの安い外国産の種が多いんですが、そうではなく地域で取れた在来の種、つまり地域性種苗を使おうと取り組んだのがタニガキ建工さんです。

谷垣

谷垣

生まれ育った地域のために貢献したいという思いがありましたし、地域生態系や生物多様性を守るという考え方が注目され始めていた時代背景も後押しになり、決断しました。

そこで豊富な知見をお持ちの中島先生、湯崎先生にアドバイスをいただこうと考えたんです。

川中

川中

地域性種苗の採用はどのように進んだんですか?

中島

中島

高野山は日本の聖地ですよね。そんな聖地に工事によって地面がむき出しの法面が発生してしまい、それが崩れるのを防がなければいけなくなった。

コンクリートで固めて防ぐ方法もあるけれど、やっぱり緑化だろうとなり、さらに緑の質を追求する方向でまとまりました。山肌の崩落を防ぐだけなら外国の植物でもいいんですけど、弘法大師のお膝元で外国の植物を使ってやるのはどうなのか、日本の自然を生かすのが筋だろうと。

当時としては前例のない取り組みであり、日本全国でもこれが地域性種苗緑化の先進事例だったと思います。

湯崎

湯崎

まだどこもやっていないような案に対して、「よし、やろう」って言えるタニガキ建工さんってすごいなと。その気概に共感したから、私たちも一緒にやりたいって思えたんじゃないかな。
タニガキ建工さんとなら、と思えました。

中島

中島

これは余談ですけど、県の担当者は当時の知事が日頃から「和歌山の自然を大切にする公共工事をしなさい」とおっしゃっていたことを受けて判断されたとのことでしたが、現在で言うところのネイチャーポジティブの先駆けだったなと。
その先見性のあるタニガキ建工さんの判断は高く評価できます。

川中 一博

CHAPTER 02

時代に先駆け、
産学連携で取り組んだ
ネイチャーポジティブ

川中

川中

なるほど。
当社が手がけた高野山道路の法面緑化工事は先生方から見ても稀有な事例、ということなんですね。

中島

中島

そうですよ。
学会でも見学会を実施し、多くの専門家に見てもらいましたが、みなさん驚かれますから。
こんな工事があの時代(2010年代)によくできたねって。

最近はテレビ番組でも「ネイチャーポジティブ」が特集されるようになり、ビジネスに欠かせないキーワードとして認知されていますが、当時はまだ違いましたからね。それを先行投資してやったのがタニガキ建工さんです。

湯崎

湯崎

産学連携として大学と企業が共同研究する事例はよくありますが、そのほとんどが目先の利益というか、商いの直前の研究である場合が圧倒的に多いんです。

でも高野山道路はそういった視点だけでなく、下支えするところから企業さんと組んで地域づくりや地域の産業づくりへと発展させられたレアケースだと思います。

谷垣

谷垣

地域性種苗の採用は決まったとはいえ、具体的にどんな植物を植えればいいんだ?という壁にぶつかり、中島先生に選定などの専門的なご意見を求めたんです。

中島

中島

高野山の事例に限らず工法の全般でススキとチカラシバという植物を選び、実際にそれを使っているわけですが、道端や原っぱに生えているものをひたすら採るのではあまりにも労力が掛かりすぎる。

しかし、国産のススキやチカラシバの種は一般に流通もしていない。
さらに遺伝的にどのエリアまでがその場所にふさわしいススキと言えるのかということも議題に上がり、中国地方から中京圏までは同じススキらしいと学会の仲間が調べてくれたので、それならいっそ自分たちで作って種を流通に乗せられないかという結論に至りました。

湯崎

湯崎

そうそう。中山間地で起きている耕作放棄地などの問題も、種を栽培することで解決につながるんじゃないかと考えたりね。
当時は日本全国で地方創生への取り組みが本格化した時期で、地域資源の活用や地域経済の活性化などが声高に謳われていましたが、具体的な方策はなかった。

そんな中で、地域性種苗の種を作ってそれを流通に乗せるアイデアは、地方創生の現実的な道筋を示すものになったと思います。

現地での活動の様子

現地での活動の様子

湯崎 真梨子

CHAPTER 03

地域性種苗を用いた「みどりの地産地消」で和歌山を活性化

川中

川中

高野山道路の法面緑化工事での知見を生かし、地域性種苗を用いた法面緑化の研究を通じて地域生態系と生物多様性の保全に寄与することを目的して「わちけん」が立ち上がった、という流れなんですね。

湯崎

湯崎

そうですね。
それに加えて「わちけん」では地域の自立的な経済システムの構築も目指しており、地方の経済的な自立とその根拠になるモノを地域で育てようとした点が革新的でした。
これまでは“そこら辺の草の種”が売れるっていう発想はなかったわけですが、そんな種でも売れるんだと。

また、タニガキ建工さんのような地元の業者さんもその種を使って工事をすることで経済的メリットを得られ、環境面でも地域経済にも貢献できるんだと。
まあ、売れるためにはいろんな問題があるんですが、それを私たち(研究者)が研究を進めて、地方の経済的な自立の助けになりたいと思っています。

中島

中島

地域、企業、大学の三者がwin-win-winの関係であるところが地方創生の具体的な方法であり、なおかつ先進的であると私たちは考えているんですね。
ただ、種ですからね、その経済規模をどう考えるかっていう問題はありますが、今そこに向かってチャレンジしているところです。

湯崎

湯崎

「わちけん」ではこれらを凝縮したコンセプトを掲げておりまして、それが「みどりの地産地消」なんですね。

具体的には、種子と緑化の地産地消を指していて、地域に生えている植物の種子を地域で採種(生産)し、地域の業者が地域の緑化工事を実施する。
つまり、地域で産出した資源を地域で活用すれば地域の自立的な経済システムの構築にもつながり、地域貢献や地域活性化も期待できる、ということなんです。

中島

中島

あと、もう一点、地方創生として補足するなら、種を作る人への貢献にもつながると考えています。
高齢になって農業をあきらめてしまった方々が再び農業をするきっかけになれば、耕作放棄地の問題も解決するかもしれませんよね。

川中

川中

それはどういうことですか?

中島

中島

私たちが使っているのは、いわば“そこら辺の草”ですよね。
手をかけずに栽培できます。
農業として粗放な管理でも収益性のあるものを栽培することができるとなると、耕作放棄地の再生につながるのではないかと考えたんです。

それとですね、これは偶然なんですけど、私たちが使っているチカラシバやススキはシカが嫌いな植物だったんです。
そういった植物を栽培することで獣害対策も同時にできちゃうんじゃないか?
そんなメリットも見えてきたんですよね。

谷垣

谷垣

高野山の事例をどう生かすかというところからスタートした「わちけん」の活動ですが、いろいろな効果があることが次々とわかりましたよね。

中島

中島

「みどりの地産地消」というビジネスモデルのピースがどんどん埋まっていくというか…
まあ、埋めていただいたのは湯崎先生のアイデアばっかりなんですけどね(笑)。

湯崎

湯崎

やっぱりそこは文系の発想と、それをちゃんと形にできる工学系や理学系のメンバーの組み合わせが産学連携の理想的な姿だと思います。

現地での活動の様子

現地での活動の様子

中島 敦司

CHAPTER 04

これからは地域から
日本を動かす!
面白い仕事、しませんか

谷垣

谷垣

タニガキ建工では高野山道路での経験を踏まえ、地域の自然を守る活動に注力しています。

また、「わちけん」で得られた知見を実際の工事現場に活用する取り組みも進めており、その一つがG-zoc緑化工法です。
社員が施工後の追跡調査に随行させてもらったり、日々学びも増えています。

中島

中島

G-zoc緑化工法は地域に自生する自然植生の保全、シカ被害拡大の抑制、温室効果ガス排出抑制、廃棄物の減量に貢献する工法です。
さらに今まで活用されていなかった資源に注目することで新たな地域資源の創出や地域の雇用創出を生み出しています。

ただ小規模だと、どうしても種の単価が高くなってしまう。
そこでいかに少ない種で効果を出すのかという研究も続けており、新工法として実用新案の登録も終わり、和歌山県がすすめる県内開発建設技術登録制度を活用して利用拡大を目指しています。

湯崎

湯崎

地元の資材を使っているのがミソなんですよね。

中島

中島

新しい技術評価工法ではいろいろな材料を使うんですが、できる限り地元のものを使おうということで、種だけでなく土や肥料などもすべて和歌山県産のオール和歌山にしようとしています。

谷垣

谷垣

当社は現場で工事をする役割ですから、この土をこう混ぜてパッケージにしようと考えたり、地元メーカーをどんどん仲間に引き入れたりして、「わちけん」として一つの商品を作っていこうと動いています。

中島

中島

いや、本当にね、こんなことまで取り組む会社ないですよ。

湯崎

湯崎

谷垣社長のように、十年先に効果が出るかどうかもわからないような事業に投資していくっていうのはすごい心意気だと思います。

中島

中島

谷垣社長は、地域のために自分の財産と時間を投じることができる、今はもうレアな存在になった旦那衆の一人だと思いますよ。

谷垣

谷垣

うちの社員も「わちけん」の活動を通じて変わりました。
緑化工事も以前はそれが何の種か、植えた種がその後、自然にどんな影響を与えるのかまでは考えていませんでしたが、この取り組みを始めたおかげで緑の質を考えるようになりました。

中島

中島

学生さんには、地域にこんなに面白い企業があるということにぜひ目を向けてもらいたいですね。
この分業化の時代にワンウェイで調査、設計、施工をすべて自社で行い、しかも地域貢献や地域活性化にもいち早く取り組んでいる。

全国の地域密着企業がタニガキ建工さん同様の動きをしなくてはならない時代がすぐそこまで来ているわけですから、タニガキ建工さんは今後その主導的な立場になると思いますよ。
もうね、これは火を見るより明らかです。

湯崎

湯崎

あとね、自己実現とアントレプレナーシップは地域に根差す小さなコミュニティの方が具現化しやすいよ、ということも伝えたいですね。

谷垣

谷垣

タニガキ建工は決して大きな組織ではないですが、物事の最初から最後まで関われるのが他にはない強みだと思っています。
また、大学の先生方と一緒に先進的な取り組みも行っている。

自由度の高い環境で地域のために面白い仕事がしたいという学生さんに、ぜひ興味を持ってもらいたいですね。
「わちけん」のワークショップは毎年開催しているので、覗いてもらえるとうれしいです。

谷垣 和伸

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